お知らせ

国連安保理制裁決議に関する政府声明

国連安全保障理事会は、今日、エリトリアに対する恥ずべき制裁決議を可決した。エリトリアに対し発動された不当な手段は以下のものを含む。武器禁輸、加盟国による加盟国領域でのエリトリアからの貨物への検査および押収、渡航禁止、委員会によってブラックリストに載せられたエリトリアの政治的、軍事的指導者の資産凍結である。

エリトリアは、過去数週間にわたってこの恥ずべき行為は、事実に基づいたものでもなければ、国際法に則ったものでもないということを強く主張してきた。これは、法を曲解した茶番劇であり、一極支配の世界に固有の危険性を増幅させてしまうものである。

事実は、この制裁発動は、もともと合衆国によって考えられたものであり、実現に向けてがむしゃらに動いてきたのも合衆国である。イギリスと、そして特にウガンダが、偽りのパッケージのための発動の支援者として組み込まれた。合衆国の国連代表団は、この件に関する真犯人は、アフリカ連合の制裁決議だと装おうとしてきた。しかし、結局、こういった偽装はうまくいかなかった。合衆国の国連大使は、最終的には、表にでてきて、国連加盟国に否応なしに決議を採択するように言いくるめなくてはならなかった。

アフリカの角での合衆国の見当違いの政策や、“エリトリアに罰を”、“エリトリアの傲慢さを砕いてやる”という執念を隠せない合衆国国連大使の個人的なひどい底意はともかくとして、エリトリアに向けられた非難とは何なのか?どうやってこれらの非難と国連憲章の条項は合致するのだろうか?今回のケースでとられた、高圧的なプロセスは国連安全保障理事会が国連加盟国に対しての制裁を行う際の手順と慣例に合致しているものなのだろうか?

1.エリトリアに対するソマリア介入への非難は、一度も実証されてもいないし、検証されてもいないことは強調されなくてはならない。多くの国連加盟国が、最終的には合衆国の圧力に黙従したが、実証も検証もされていないという理由で、初期においては決議草案に反対していた。ソマリア監視団は、以前、エリトリアを“反TFG派に武器を供与している”という理由でエリトリアを非難した。この条項は、のちに静かに削られ、修正版では、エリトリアへの非難は“ソマリアにおける平和と和解を不安定化させることに従事している武装集団に対して、政治的、経済的、支援、また後方支援をしている”というものに変わっていた。最初に述べたことを繰り返すが、こういった主張は、説明もされてもいないし、検証もされてもいない。実際問題として、エリトリアはソマリアに接する国境をもたないというのに、どのようにしたらソマリアの武装勢力を後方支援できるというのだろうか?経済的支援という非難も同様に脆弱な言い分である。エリトリアは、ソマリアの武装勢力を財政支援するという意志は政治的にも経済的にもない。政治的支援という非難については、エリトリアは適切かつ熟慮された理由によりTFGを承認してないというのはよく知られている。これは、以前のTFGがソマリア国民の合意なしに、外部によってモガディシオに据えられた時と同じである。エリトリアの公平かつバランスのとれた立場は、ソマリアの危機に対する恒久的、持続的な解決にむけて貢献したいというエリトリアの切なる願いにから発しているものである。これらの政治的な思慮はともかく、直近の根本的な法律的課題というのは、この純粋に主権国家の権限の問題が、国連安全保障理事会懸念の議題として曲解される可能性があるかどうかということである。その政治的見解ないし外交的選択という理由で、その加盟国を罰するということが、安全保障理事会が持つ権限なのだろうか?いまだかつて、安全保障理事会は、その国がコソボやアブハジア、南オセチアを承認しなかったからという理由で、一つないし複数の加盟国に対して制裁を発動したことがあっただろうか?こういった性質の問題に関する議論は、国連安全保障理事会に、無防備な国に対して、裁量で懲罰的な措置をとる権限を与えるものなのだろうか?

2.制裁決議は、「スルト(リビア)での第13回アフリカ連合総会での、エリトリアに対する制裁発動を安全保障理事会に求める決定」について言及している。再び繰り返すが、この主張は、歪曲と一面的なものの見方に満ちたものである。最初に強調したように、この決議は、ウガンダの個別の立場によって共同で提案された。この決議は審議されず、反対に現在のAU議長国であり、国連安全保障理事会の非常任理事国であるリビアの強烈な反対にあった。さらに重要なことに、国連憲章の第7章を思い起こせば、国連安全保障理事会の役割は、ある地域機構によって採択された加盟国への制裁決議に対して、深く考えずに追認することではなく、明白な事実と法に基づくことができる時のみ、国連が自主的に制裁決議を発動することである。

3.前代未聞の皮肉なふるまいという早業で、国連安全保障理事会決議は、アメリカによってでっちあげられた“ジブチとの国境紛争”という理由で、エリトリアに対するその他の懲罰的な措置を勧告している。エリトリア-エチオピア国境委員会が、2002年4月に両国に対して、拘束力をもつ最終的な裁定を下して以来、今年までの7年間もの間、安全保障理事会は、同じ組織によって広く作成され明白に保証されたアルジェリア和平協定に基づく決定を尊重するという自らの責任を引き受けることを拒んできた。これに勇気付けられたエチオピアは、自らの条約義務、国連憲章、そして国際法を破り、バドメやその他のエリトリアの主権領土の占領を続けてきた。この同じ安全保障理事会が、単にワシントンが主導しているからとの理由で、今やがらりと調子を変えて、エリトリアをありもしない国境紛争を理由に懲罰的な措置で脅している。

安全保障理事会決議1907(2009)は、それゆえに、法や明白な事実に基づいたものではない。合衆国は、単にその圧倒的な影響力をもってして、小国に対して不当な制裁をごり押しした。そして恥ずべきことは、エリトリアの国民と政府に対する不当な仕打ちを用意するために、合衆国が国際連合というプラットフォームと権威を利用することが許され続けてきたということだ。これは近年の歴史の中で、2度目のことである。また、恥ずべきことに、国連安全保障理事会のその他の主要国は、ワシントンの行き過ぎた行為をチェックするために、失望を表明する(それもプライベートな会合の場において)以上のことができないことである。恥ずべきことは、合衆国にとって、そもそも自身に責任がある罪のために、形勢を逆転させて無実の国家を犠牲にすることが可能であるということだ。真実は、ソマリアを今日苦しめている騒乱の多くの責任は合衆国にある。実際、ソマリア危機は現在、手に負えないものになってしまったが、2006年の時点では快方へ向かっているという現実的な見込みがあったのが周知のところだ。アメリカのブッシュ政権が、エチオピアのソマリア侵攻を扇動し支援することで、この明るい進展を後退させてしまったからだ。このたった一つの崩壊が、ソマリアの幾多の人々の命を奪い、50万人が家を失い、ソマリアにおける人道危機を空前のレベルにまで悪化させてしまった。しかし、安全保障理事会は、今、正義と法的見地に基づいた行動をとっていない。安全保障理事会は、ほとんど一極支配の世界において現存するパワーバランスに基づいた行動をとっている。これは国際司法と平和にとって、良い兆候とはならない。これが、今日が国連にとって恥ずべき日となってしまった理由である。

エリトリア国外務省
2009年12月23日

原文(英語)はこちらでダウンロードできます

国連安全保障理事会のエリトリアに関する決議に関して

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