独立闘争写真集 『エリトリア-長き夜の後の夜明け-』

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写真集序文より

1978年、世界はエリトリアの独立闘争を事実上見限った。1988年になり、あるエリトリア側の勝利がエチオピアの政権のみならずアフリカの角における超大国の権益にも影響を与えると、世界は筋の通った大衆の闘争の可能性を理解し始めた。しかし、この間に、エリトリアにおけるもっとも苦しい十年間が過ぎ去っていた。

この十年の間にエリトリア人民が対峙していたのは、エチオピアの圧倒的な軍事力である:アフリカ最大の25万人の部隊を擁し、アフリカで最も優秀な装備を持ち、超大国、つまりソビエト連邦、の力によって支えられてきた軍事力である。エチオピアの軍事支配者、デルグ政権はまた、財政においても、兵站においても、人材においてもソビエト連邦とその同盟国からの支援を享受していた。西側諸国はデルグ政権を西側陣営へ引き込もうという意図で経済的・外交的支援を与えていたが、これもまたエチオピアの戦費調達の助けとなっていた。

エリトリアに対するエチオピア・ソビエト軍の猛攻撃は1978年半ばに開始された。続く十年の間、8回に及ぶ大規模な攻撃と数多くの軍事作戦が仕掛けられた。中には、2000名近いソビエト軍事顧問団と圧倒的な兵器(化学兵器を含む)という支援を受けた10万人を超える部隊がエリトリア側に体当たりをかけてきたものもあった。

兵力や装備という点においては、非常に不均衡な戦いであった。エリトリアは350万の人口しか持たない小さな国である。資源は限られており、戦乱と干ばつが人々をさらに疲弊させていた。そして、この十年の間、エリトリアは海外の一カ国からも援助を受けられなかった。

ではどうしてエリトリア人民がエチオピア・ソビエト軍の猛攻撃に抗うことができたのだろうか?なぜ、軍事バランスを完全に逆転させ、1988年5月にはデルグ政権の指導者メンギスツ中佐にエチオピア帝国の存在に対する“脅威”を認めさせるだけでなく、戦争の最中においても際立って民主的な社会を築くことに成功したのだろうか?

公正さや堅い信念、勝利への決、犠牲を厭わない精神、国内国外を問わない一般市民たちの非常に広範にわたる参加、組織化する力や技術、前衛的組織の政治的な成熟などを理由としてあげることができるだろう。しかし、エリトリア人たちが体験しなくてはならなかったこと、あるいはエリトリア人たちが成し遂げたことの程度や重要さを視覚化するのは非常に難しい。

本書の写真は全てEPLF(エリトリア人民解放戦線)のカメラマンたちによるもので、独立戦争の最も重要な局面や、自らの権利や自由への憧れを守るための人々の努力の人間味あふれる一面を鮮やかに描いたものである。本書がエリトリアという奇跡を説明するのに役立てばと願っている。

EPLF Department of Information
1989年

※この写真集は1989年にEPLFにより出版されたものを、2011年に駐日大使館にて電子データ化したものです。

30年にわたる独立戦争の記録であり、戦争の現実を表す数々の写真の中には、時に衝撃的で不快なものもあるかもしれませんが、まぎれもなく私たちがくぐりぬけてきた歴史の一ページなのです。平和を愛する人々とこれら歴史の証言を広く共有したいとの思いからオリジナルの写真にあえて修正を加えていないことをご了承ください。

*This photo book was originally published by EPLF in 1989 and newly converted into electronic data in 2011 by the embassy of the State of Eritrea to Japan.

This is the record of the 30 years independence struggle and some of the photos here may look shocking to the readers, hence this is a real page of the long history we went through. Please understand that we chose not to edit any original photos so that we can widely share this historical testimony with those who love peace.


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